« 「春夜」(春宵一刻直千金) 蘇軾 | トップページ | 「秋日」(返照閭巷に入り) 耿湋 »

2007年12月15日 (土)

「登科後」(昔日のあくせく誇るにたらず)  孟郊

 

 

 

 

 

「昨日のあくせく それはそれ」

                 AKY訳

昨日のあくせく それはそれ

今日の楽しみ かぎりない

春風の中 車に乗って

(みやこ)の桜(はな)を 見尽くすぞ

(原詩)

 「登科後」      

       孟郊

昔日齷齪不足誇

今朝放蕩思無涯

春風得意馬蹄疾

一日看盡長安花

 

(読み下し文)

 「登科(とうか)の後」

                 孟郊

昔日の齷齪(あくせく)誇るに足らず

今朝(こんちょう)放蕩 思い涯(はて)無し

春風(しゅんぷう)意を得て馬蹄疾(はや)く

一日看盡(みつく)す長安の花


 

 「昨日までの苦労して勉強していたときのことは、自慢にもならないが、合格したあとの今朝となってみれば、のびのびとして楽しくて仕方がない。過去のあくせくしたことは忘れて、今日は一日、都じゅうの桜という桜をすべて見て回るぞ」

 登科とは、科挙に合格すること。出世して高級官僚になるためには、科挙に合格するほかはないのだけれど、合格率は1%、百人に一人程度だったといわれています。何度受けても落第を繰り返すものもあれば、七十過ぎてようやく合格したという話もあります。孟郊(七五一~八一四)もその一人だったようで、五十ちかくなってようやく合格したそうです。気難しい男だったといわれていますが、この詩には、さすがにうれしさが表れています。
 科挙の合格発表は、三月、勅許によって合格者は、王侯貴族の邸宅の庭を自由に見て回ることができたそうです。当時の中国では、牡丹の花が流行で、中にはひとつの花の値が中流階級の十軒分の税金と同じというものもあったらしい。その時期の都の騒がしいことは、「一城の人皆狂うが如し」と書かれています。


 合格者は、自由にそのような見事な花や庭を見て回れるということで、都中を意気揚々と馬で走り回ったということです。
 日本だったら、さしずめ桜の季節の京都のようなものではないかしら。今日では、さすがに馬は飛ばさない、いわば、シーズンの京の街中を、タクシーを借り切ってみてまわるというところでしょうか。

 孟郊は、詩人としてはともかく、官僚としては、あまり有能とはいえなかったようです。仕事が怠慢だというので、官位を落とされたこともあったらしい。結局、不遇に終わったということです。

  松下緑さんは、下のように「昔日」を文字どおりに「昔」として「ムカシハ~シタモノダ」と訳しておられます。おそらく「合格してしまった今では、数日前のことも遠い昔のように思える。」ということなのでしょう。
 私は、「長年の苦労が報われた。」という思いを、もう少し表現したいと思って、「昨日の~ それはそれ」としてみました。


[(参考)他の方々の訳詩]

    

「昔ハアクセクシタモノダ」

            松下緑訳

昔ハアクセクシタモノダ

今朝ノ楽シミ果テモナイ

春風ヲ背ニ馬ヲ馳せ

ヒネモス京ノ花メグリ

 

(2008/05/27改訂)
「登科後」の印刷用ファイル(b003_print.pdf)をダウンロード


|

« 「春夜」(春宵一刻直千金) 蘇軾 | トップページ | 「秋日」(返照閭巷に入り) 耿湋 »

暁遊詩集」カテゴリの記事

コメント

美術書を訳していて、孟郊Meng Jiaoの英訳詩がありました。
Heaven and earth are united in my breast.
Objects and appearances have their origin within me.

というものですが、ネット検索でこちらのブログを知りました。
原詩がもしわかれば教えてほしいと思い連絡したのですが、
よろしくお願いします。

投稿: MATSU | 2011年2月 6日 (日) 11:32

ブランドコピーN
ブランドスーパーコピー通販専門店!人気N品激安!
2020年新品種類がそろっています。
品質がよい、価格が低い、実物写真!
弊店のスーパーコピー時計は品質2年無料保証になります。
日本全国送料で数量無料です。

投稿: ヴィトン スーパーコピー 安全 | 2020年9月17日 (木) 10:23

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「登科後」(昔日のあくせく誇るにたらず)  孟郊:

« 「春夜」(春宵一刻直千金) 蘇軾 | トップページ | 「秋日」(返照閭巷に入り) 耿湋 »